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櫻井健一

相続手続とは(その2遺産分割協議)

 前回は法定相続について解説しました。

 今回は相続人の話し合いによって財産の配分を決定する、「遺産分割協議」について解説します。

 相続手続の中で最も多く使われる方法で、8,9割くらいのケースでつかわれているイメージです。

 皆さんの中にも相続手続のため実印を押して印鑑証明書を取ってきてほしいと言われた覚えがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。その際に実印を押す書類が「遺産分割協議書」という書類です。

 その書類には亡くなった方のこの財産は誰がもらうということが書かれていて、その内容に従って遺産の配分がされることになります。

 この書類に実印を押すとそこに書かれている遺産の配分に同意したことになりますので、しっかり書類を読んで、内容を理解してから押印するようにしてください。(押印するということは書類の内容に同意するという意味ですので、どんな書類でも理解してからハンコを押すべきですが・・)

1 手続方法

 ① 相続人の確定

   まずは亡くなった方の相続権を持つ方が誰なのかを調査します。

   調査方法は亡くなった方の戸籍謄本を取って、親族関係を読み解きます。

   専門家ではない方が相続手続をしようとする場合に、つまづくことが多いのはこ  

  の相続人調査がうまくいかない点です。

   調査には亡くなった方の生まれた時から亡くなるまでの戸籍謄本が必要となります

  が、結婚や転籍などで戸籍が移動していると、どう追跡するか判断するのは慣れていな

  い方にはなかなか難しいです。古い戸籍は達筆な文字で書かれていたりするので、経験

  のない方は読むことすらままならないこともあります。

   戸籍を揃えたらその内容をもとに「相続関係説明図」という書類を作ります。

   この書類は亡くなった方の相続人が誰であるかを表す一覧表です。

   一覧表に載っている相続人相続人全員で話し合いをしてもらいます。

 ② 相続人の話し合い

   全員が同意した内容を先に触れた「遺産分割協議書」にまとめて、全員に実印で押

  印をし、その印が実印である事の証明として印鑑証明書を付けます。

   以上の手続が完了すれば、亡くなった方の遺産を誰が取得するかが確定します。

   これらの書類を法務局・金融機関などに提出して各種財産の名義変更をしていくこと

  になります。

2 話し合いがまとまらないとどうなる?

   遺産分割協議はどのように財産を分けるかは自由です。しかし相続人の全員が納得し

  なければ協議は成立しません。一人でも反対の方がいればダメです。

   話し合いがまとまらない理由は以下のようなケースです。

 ① 分割の内容に同意しない人がいる

   例えばある土地を2人の相続人が欲しいと言っていてお互いが譲らないとか、もら

  うお金の金額で折り合いがつかないといった場合です。

 ② 話し合い自体ができない

   兄弟間の仲が悪くて話し合いができないとか、前妻の子と後妻の子が相続人となって

  いる場合などです。

 ③ 相続人に未成年者や認知症の方がいる

   遺産分割協議をするためにはその内容を理解して判断する能力がなければできま

  せん。その能力のない未成年者や認知症の方がいる場合は代わりに話し合いをする代理

  人を付けなければならなくなります。

 ④ 行方不明者がいる

   戸籍上では生存しているが、どこにいるかわからない方がいても、その方を無視して

  協議をするわけにはいきません。

   この場合も本人に代わって話し合いをする代理人をつける必要があります。

3 調停が必要なケース

  代理人等を付けて話し合うメンツを揃えたとしても、全員の同意をもらえなければ裁

 判所に間に入ってもらうしかなくなります。

  具体的には家庭裁判所に遺産分割調停の申立をします。

  普通の方の感覚では裁判所での手続はハードルが高く感じると思います。

  実際、協議がまとまらないため遺産が塩漬けになっているケースもあります。

  銀行預金は名義人が亡くなった事が判明すると口座を凍結されてしまいます。

  

4 手続をスムーズにする方法

  遺産分割協議が上手くいかないことが予想される場合は、生前に遺言書を作っておいて

 もらうことをお勧めします。

  遺言書の事については次回に解説したいと思います。


最後まで読んでいただきありがとございました!

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